詩「春」

四月
そよ風に吹かれて
その椅子と机は
廊下側の一番後ろにあった

七月
強力な太陽の光を浴びて
その椅子と机は
窓側の前から二番目にあった

十月
落ち葉が木枯らしに舞う頃
その椅子と机は
中央の列の後ろから三番目にあった

一月
珍しい雪景色を見ながら
その椅子と机は
窓側からニ列目の前から四番目にあった

ただの一度も
座られることもなく
ただの一度も
本もノートも置かれることはなかったけれど・・・

春がきた
少年の心にも
ちょっぴり
春がきた