親父が死んだその夜は

親父が死んだその夜は

親父が死んだその夜は

銀河が流れる 星灯かり 

あなたに空似の 満月が

澄ましてこちらを覗いてる

親父が死んだその夜は

カミナリ今は 懐かしい

建てた自慢の 鯉のぼり

今でも 大空泳いでる

親父が死んだその夜は

南の島に 舞い戻る

ヘビとトカゲと 戦友と

辿り着かない 迷い道 

親父が死んだその夜は

花も名誉も いらないよ

まあそこそこの 人生よ

あの日の呟き 思い出す

親父が死んだその夜は

微笑む顔が 遠ざかる

枝豆つまみに 三杯目

酔いが寂しさ 連れてくる

親父が死んだその夜は

街も世界も 変わらない

いつものように 夜が明けて

いつものように 風が吹く

※南の島、父が従軍したニューギニア地方。