詩「「さなぎ」の時代」

中学生時代は「さなぎ」の時代である
どうして「さなぎ」が蝶になるのか
本当のところ今でもよくわかってはいない
生長の休止期と呼ばれているが
黙って休んでいるわけではない
「さなぎ」は、様々な葛藤の中で
もだえ苦しみ、壮絶な戦いを行っているのである
「さなぎ」の体内では、
イモムシの表皮の細胞はどんどん死に絶え
蝶への命を育む細胞は、どんどん分裂を繰り返していく
そうして、最後の壮絶な戦いに勝ちえたものだけが
「さなぎ」の殻を破り大空に飛び立っていくのである

「さなぎ」はイモムシではない
イモムシは自由に動き回り青葉を食いちぎる
小学生は、イモムシである
授業中での歩き周りや勝手なおしゃべりは
中学校では許されない
茶髪の選手が格好いいといっても我慢してもらう
口紅もタバコもお酒も我慢してもらう
蝶の模様が美しい、と言っても中学生は蝶ではない
「さなぎ」だからだ

中学校は、みんなには、
ちょっと窮屈かもしれないが
じっくり骨を作り、血を作り
何ものにも負けない精神力を作り、
三年後、あなたたちの飛び立つ日
卒業式、
すばらしい蝶となり
高く高く、大空に舞い上がってほしい